卒業生の実家 ウェーブ

夕方四時 ラインが入った

いつものあの子
3年前 家出をしてウェーブに来て出会った
家族の縁が少なく
困った時にラインしてくるその子

お母さんとの記憶が少なく

「いつか先生のことをお母さんって呼びたい」と言ったあの子

彼女からラインが入ると
必ずビデオ通話するようにしてる

こちらの顔を見せることに意味があると思って

ビデオ通話すると
必ず出てくれるから

可愛くて仕方ない

何度も都合よく頼ってきて
何度も居なくなる

今回もきっとそう

わかってはいるけど

頼ってくる限りは続けようと思ってる

で、今回は

「帰りたい」「お金がない」「どうしていいかわからない」

だから、

わかった
靴下履いて、
一番大きなカバンに目につく自分のものを詰めて
携帯と充電器と財布は絶対もって
靴履いて
外に出て

と一つずつ指示を出す

今回の最寄駅は名古屋らしい

そこから

思い当たる名古屋の友達に連絡をとり
名古屋、小倉と
沢山の大人の力を借りて

無事大分まで帰りついたのは夜

きっとまた彼女は居なくなる

それでも

困って頼ってきた時は
「帰っておいで」といい続ける

卒業生の実家 ウェーブ

困った時に思い出したなら
ウェーブの出番はここにあると思う

ウェーブには
卒業したあと
何ヶ月も何年も音信不通でも
ふと頼ってくる子供たちがいる

目の前の子供たちには

「君たちもいつか同じことがあったら、同じようにここにきていいから」

「関わったが最後、ずっと縁は切れないから」

そう伝える

見知らぬ卒業生と先生たちのやりとりを見て
彼らは育つ

時間とお金をかけて
関わる大人の姿を見て

彼らは育つ

それがウェーブの自立支援寮

頼りたい時に頼れる場所

海で溺れてる時は自分で自分の手を引っ張っても仕方ない
誰かが手を貸し引っ張り上げないと溺れたまま

18歳までは泳げるように教えもするが
それで泳ぎ方を習得しなかった子もいるし
泳げても溺れることもある

そんな時に

びしょ濡れの子達を引っ張り上げるのがウェーブ

今回も

自己満だけど

一人溺れずにすんだ

溺れずにすんだから

彼女たちはまた海で泳ぎたいと出かけていく

そして
海に出かける子を

止めもしないのがウェーブ

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